
袴にブーツスタイルを合わせた着こなしは、定番の和装ファッションの1つです。しかし、袴にブーツを合わせる際は、慎重なブーツ選びが欠かせません。本記事では、袴スタイルに合わせたブーツの選び方や、袴でブーツを履く際の靴下・タイツ選びについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
袴×ブーツスタイルのルーツ
袴にブーツを合わせるスタイルは、明治時代の女学生の間で流行したファッションがルーツとなっています。当時、西洋文化の影響を強く受けていた日本では、洋装と和装を組み合わせるスタイルが人気を集めており、女学生たちは袴にブーツを履くことでモダンな印象を演出していました。
このような背景から、袴とブーツの組み合わせは「レトロで可愛い」「明治時代の女学生風」といったイメージを持たれ、現代の卒業式においても定番のスタイルとして親しまれています。
また、草履に比べて歩きやすく、雨や雪などの悪天候にも対応しやすいため、実用性の面でもブーツは好まれています。さらに、ヒール付きのブーツを選ぶことでスタイルアップ効果も期待できることも、多くの女性に支持されている理由です。
このように歴史的背景と機能性、そしてファッション性の三拍子が揃っていることが、袴にブーツを合わせる理由となっています。
袴スタイルに合わせたブーツの選び方
袴スタイルに似合うブーツを選ぶ際は、以下の4つのポイントを意識しましょう。
なりたい雰囲気
まずは、なりたい雰囲気に合わせることが大切です。袴に合わせるブーツは全体の印象を左右するアイテムなので、デザインやシルエットで理想のイメージに近づけましょう。
明治時代の女学生風を目指すなら、定番の編み上げブーツが最適です。一方で、ミニマルな装いが好みなら紐のないすっきりしたブーツを、モードで個性的な印象にしたいなら足袋風のつま先が分かれたデザインもおすすめです。
筒丈
筒丈は、20cm前後のものがベストです。足首が隠れて全体のシルエットが整い、上品に見えます。足首周りが細めのものを選ぶと袴とのバランスが良く、スタイルが引き締まって見えるでしょう。
また、着脱のしやすさを考えてファスナー付きや足首がシェイプされたデザインを選ぶのもポイントです。むくみやすい方や厚手のタイツを履く予定がある人は、筒周りに適度なゆとりのあるブーツを選ぶと快適に過ごせます。いざというときのためにも、脱いでも問題ない高さの筒丈のブーツを選ぶのがポイントです。
ヒールの高さ
ヒールの高さも、ブーツ選びにおいては大切です。3〜5cm程度のヒールが脚を長く見せつつ、無理なく歩ける高さです。ヒールが高すぎると歩きにくく、卒業式のような場では不向きです。
ヒールの太さは3cm前後で安定感のあるものが理想で、ピンヒールは転倒の危険があり、太すぎると野暮ったく見えることもあります。ヒールに慣れていない人は、フラットなブーツでも大人っぽいシンプルなデザインであれば問題ありません。
カラー
ブーツのカラーは、全体のコーディネートとの調和を意識して選びましょう。黒は定番ですが、淡い色の袴やワントーンコーデには、白やベージュなど柔らかい色合いのブーツが馴染みます。
赤やピンクなどの袴には、黒ではなくブラウンやグレーを合わせることで、差別化されたおしゃれな印象になりやすいです。ブーツの色選びひとつでコーデの完成度が大きく変わるため、妥協せず選びたいところです。
袴でブーツを履く際の靴下・タイツ選びのポイント
袴にブーツを合わせる際、靴下やタイツの選び方にも気を配ることで、より美しい袴スタイルが完成します。卒業式のようなフォーマルな場面を想定し、防寒性や実用性、見た目のバランスを考えて選ぶことが大切です。
防寒対策
まず重視したいのは、防寒対策です。卒業式は2〜3月の寒い時期に行われるため、体育館など底冷えしやすい場所で長時間座る可能性もあります。
袴はロングスカートのような構造で、裾から冷気が入りやすいため、厚手のタイツや靴下を着用して寒さから体を守りましょう。とくに足元は冷えやすい部分なので、防寒性をしっかりと意識した素材選びがポイントです。
手持ちのスパッツやレギンスで代用しても問題ありませんが、裾から見える可能性を考慮して、黒や白といった落ち着いた色味を選ぶのがおすすめです。また、さらに防寒したい場合は、袴の下にウール素材のスカートを履いておくと、腰回りや太ももが温まり効果的です。
トイレで脱ぎやすいか
次に、トイレの使用を想定することも重要です。袴の下には振袖を着ているため、脱ぎ着が難しい構造になっています。着圧が強く伸びにくいタイツやストッキングは、トイレでの着脱が困難になるため避けましょう。
伸縮性があり、締め付けの少ない素材で、ゆとりのあるサイズのものを選ぶと快適に過ごせます。とくにハイウエストタイプのタイツは、トイレ時に下げるのが大変で、元の位置に戻すのも難しいため注意が必要です。
腰紐の位置と重なることでストッキングが折れたり、肌への違和感を感じやすくなったりすることもあるので、履き心地の良さも忘れずに確認しましょう。
ブーツを脱ぐシーンの想定
また、ブーツを脱ぐシーンを想定しておくことも忘れてはいけません。たとえ卒業式ではブーツを脱ぐ場面がなくても、当日の移動や食事会、写真撮影など、思わぬタイミングで脱ぐ可能性も考えられます。
そのため、靴下やタイツのデザインにもフォーマル感を意識した選択が求められます。キャラクターものやラメ入りや派手な柄のアイテムは避け、シンプルな黒や白、無地で清潔感のあるデザインを選ぶことで、万が一の場面にも安心して対応できます。
なお、小学生が袴を着る場合には、ブーツを脱いで上履きに履き替えたときに丈が長くならないよう、事前に確認しましょう。
まとめ
袴にブーツを合わせるスタイルは、明治時代の女学生から続く伝統とモダンが融合した装いで、卒業式の定番として多くの人に親しまれています。歩きやすさや防寒性といった実用性に加え、スタイルアップやおしゃれ感を演出できる点も人気の理由です。ブーツを選ぶ際は「なりたい雰囲気」「筒丈」「ヒールの高さ」「カラー」の4つを意識することがポイント。また、靴下やタイツ選びでも防寒性や脱ぎやすさ、見た目の上品さに配慮することで、より完成度の高い袴スタイルになります。しっかりと準備を整えれば、当日を快適に、美しく迎えることができるでしょう。