卒業式や前撮りなど、袴を着る場面では普段と違う動作が多く、歩きにくさ・座りにくさ・階段で裾を踏むなどの不安を感じる方も多いものです。袴は見た目が華やかな分、動き方に少しコツが必要です。
大切なのは、“着崩れない・裾を踏まない・美しく見える”という3つのポイントを押さえて、日常の動作を少しだけ丁寧に行うこと。
この記事では、袴初心者でもすぐに実践できる基本所作を、シーン別にわかりやすく紹介します。
目次
袴の歩き方
袴で歩くときは、つま先をやや内側に向けて小さめの歩幅で歩くと裾を踏まずに美しく見えます。
袴はスカートのように見えても、実際には裾に広がりがあり、歩幅を大きくすると裾が前に流れやすく踏みやすくなります。
ポイントは以下の通りです。
・歩幅はいつもの6〜7割程度
・つま先を外に開かず、まっすぐ〜やや内側へ
・裾が揺れないよう丁寧に歩く
・足を引きずらず、真下に下ろすイメージ
着崩れや帯まわりの乱れを防ぐためにも、体の中心をまっすぐに保ち、ゆっくり歩くことが大切です。
袴の座り方
椅子には深く腰かけず、背筋を伸ばして浅めに座ると袴が崩れません。
袴で座るときに深く腰掛けてしまうと、裾が引っ張られてシワが寄ったり、帯がずれたりする原因になります。
座るときのコツは次の通りです。
・椅子の半分〜手前側に浅く座る
・背もたれにもたれない
・袴の前側を少し持ち上げてから座る
・裾が広がらないよう軽く整える
正面から見たときの姿が最も美しく見えるのは、この“浅座り”の姿勢です。
袴での階段の上り方
階段を上るときは、片手で袴の前を軽く持ち上げると安全に歩けます。
袴の裾は階段の段差に引っかかりやすいので、上りでは特に注意が必要です。
具体的には、
・袴の前側を5cmほどそっと持つ
・手を大きく動かさず、指先でつまむ程度
・体はまっすぐ、段差をしっかり確認して
・歩幅は小さめにする
裾が引っかかる心配がなくなるため、転倒防止にもつながります。
袴での階段の下り方
階段を下りるときは、視線を足元に向けて小さく歩き、裾を踏まないよう慎重に進みます。
下りでは裾が前に流れやすく、とくに踏んでしまうリスクが高くなります。
安全に下りるためのポイントは次の通りです。
・手すりがあれば軽く添える
・歩幅は上り以上に小さく
・つま先をまっすぐに向ける
・裾が前に流れてきたら手でそっと戻す
着崩れも防げるため、式典中や人混みでは特に丁寧に下ることを意識しましょう。
袴でのしゃがみ方
しゃがむときは膝を閉じ、袴が広がらないよう手で軽く押さえながらお尻を下ろします。
写真撮影や荷物を取る際など、しゃがむ動作で裾が大きく広がると見た目が崩れやすくなります。
自然で上品に見える動作のコツは以下の通りです。
・膝同士を軽く寄せて下ろす
・裾を片手でやさしく押さえる
・背筋は曲げず、まっすぐのまま
・ゆっくり上下する
無理な姿勢は着崩れにつながるため、小さくコンパクトに動くことが大切です。
袴での荷物の持ち方
荷物は片手にまとめ、反対の手は常に袴を整えられるよう空けておくと安心です。
卒業式では証書筒や手荷物が増えやすいため、袴の裾を踏んだり袖を引っ掛けたりしやすくなります。
安全で美しく見える持ち方のポイントは次の通りです。
・荷物は利き手ではなく、安定しやすい方へまとめる
・反対の手は裾や袖を整える“補助手”として空ける
・重い荷物は両手で持つよりも、肩掛けバッグで分散させる
・袴に引っかからない長さのバッグを選ぶ
荷物の位置や持ち方に気を付けるだけで所作全体が美しく見えます。
袴での写真の写り方
写真では背筋を伸ばし、つま先をそろえると凛とした姿に仕上がります。
袴姿は正面からの写真はもちろん、横向きや歩き姿も映える装いです。きれいに写るためのコツは以下です。
・背筋はまっすぐ、顎を引きすぎない
・足はつま先を揃えて内側に入れると上品に見える
・袖は広げすぎず、自然に体の横へ添える
・座り姿の撮影では浅めに座り、膝を少し寄せる
撮影時は動作を丁寧にするだけで、上品さが自然と表れます。
袴の歩き方・所作で避けたいNG行動
袴では次のような動作が着崩れにつながるため避けましょう。
・大股で歩く
・椅子に深く座る
・裾を引きずるほどの歩幅
・駆け足で移動する
・開脚するような座り方
・袴の前側を大きく持ち上げすぎる
どれも着姿が乱れたり、転倒の原因になる可能性があります。
袴は少し小さめの動作を意識するだけで、美しく見えるだけでなく安全にもつながります。
袴を着る前に知っておきたい準備と心構え
美しく所作を行うためには、着る前の準備も大切です。
・足袋や草履を事前に試して慣れておく
・袴の長さが合っているか確認しておく
・補正は厚くしすぎず動きやすさを確保
・式典当日は時間に余裕を持って行動する
事前の準備が整っていると動きがスムーズになり、所作にも余裕が生まれます。
まとめ
袴は歩き方・座り方・階段など、日常とは少し違う動作が必要ですが、どれもポイントさえ押さえれば簡単に美しい所作が身につきます。
大切なのは、歩幅を小さくする・背筋を伸ばす・裾を踏まないという基本の3点です。
卒業式や記念撮影の一日を気持ちよく過ごすために、今回紹介したコツを意識してみてください。袴姿がより美しく、そして快適になります。






