
今では、卒業式に出席する女子大生の多くが、袴と振袖を着用しています。袴と振袖には、どんなコーディネートが合うのでしょうか?本記事では振袖の種類と特徴を紹介し、袴と合わせるポイントについて解説します。袴と振袖姿で卒業式を迎えたい女子大生やご家族の方はぜひ参考にしてください。
振袖の種類
振袖には「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類あります。振袖は未婚女性の正式な礼装(最上級の礼装)で、着物の中でももっとも格式の高いものといわれています。
大振袖の特徴
大振袖は、袖の長さが104㎝から120㎝ほどあります。大振袖は振袖の中でも格式が高く、結婚式で花嫁が着用することでも知られています。
成人式で着用する人もいますが、あまり活動的ではありません。同様の理由で、卒業式でもあまり着用する人はいないようです。
中振袖の特徴
中振袖は袖の長さが約100cmで、成人式の晴れ着として用いられるのが一般的なスタイルです。成人式で着るだけでなく、結婚式や正式なパーティー、式典への出席、結納などの場面で着用しても違和感はありません。
このように、中振袖は長振袖に次ぐ正装として、広く用いられています。中振袖は、卒業式の袴と合わせる振袖としては、とても人気があります。
小振袖の特徴
小振袖は、振袖の中でもっとも袖が短い着物です。袖の長さは60㎝から85㎝ほどで、その長さから「二尺袖」とも呼ばれています。軽快で可愛らしい小振袖は、まさに女子大生にピッタリのアイテムです。
身長に見合ったサイズの小振袖を着用すると、その袖の長さは膝のあたりに達します。この小振袖は、振袖の中でもっとも気軽に着こなせるため、ブーツや袴と組み合わせて卒業式にもよく着用されているのです。
また、日常着やちょっとした外出、カジュアルなパーティーなどにも適しています。
卒業式に合わせる振袖に決まりはない
卒業式に袴と合わせる振袖には、「こうでなければいけない」という厳格な決まりはありません。袴は、今では女子大生の卒業式の定番アイテムとなっていますが、その起源は明治時代の学校制服にあります。さらにそのルーツをたどると、皇室の女官服に由来するもので、動きやすさだけでなく、エレガントさと格式を兼ね備えています。
袴に合わせる振袖には特別な決まりはありませんが、未婚女性の正式な礼装(第一礼装)である振袖と袴の組み合わせは、その起源や歴史から見ても晴れの装いに相応しいものといえるでしょう。
振袖は身長に合わせた着こなしが大切
長い袖丈は着姿にも影響を与えるので、身長が低い方は袴と中振袖の組み合わせは、バランスが取りにくいかもしれません。逆に身長が高い方は、そのスマートなスタイルが、袴と振袖の組み合わせによって引き立つでしょう。長振袖、中振袖、小振袖のうちどれを選ぶかは、動きやすさとともに、身長も考慮して決めるのがおすすめです。
袴のみのレンタルサービスを利用する
成人式で振袖を購入していたり、家族から受け継いだ振袖がある場合は、袴だけをレンタルするのもひとつの方法です。卒業式以外で袴を着る機会は少ないので、購入するよりもレンタルをうまく活用したほうがお得です。
ブーツよりも草履がおすすめ
袴を着る場合は、草履かブーツを履くのが通常です。どちらを選ぶかは好みによりますが、選んだ靴によって袴の裾の長さが異なります。中振袖は袖丈が100cm前後あり、腕を下ろした状態では袖の先が足首あたりにまで達します。
全体的にアンバランスに見えるおそれがあるため、中振袖に袴を合わせる際は、草履を選ぶことをおすすめします。これとは逆に、小振袖の場合はブーツのほうがいいかもしれません。
日本古来の和装にブーツは一見ミスマッチに見えますが、実際に着用すると見栄えがよいものです。袴と小振袖にブーツを組み合わせると、大正ロマンを彷彿とさせるエキゾチックなコーディネートを演出できます。
卒業式で人気の袴
数多い袴のデザインの中から、卒業式で人気の袴をご紹介しましょう。
無地袴
卒業式では、無地袴が好まれる傾向にあります。もっとも基本的なデザインが無地袴で、刺繍やグラデーションのないシンプルなデザインです。シンプルなので、着物を引き立てるコーディネートにおすすめです。
ぼかし袴
ぼかし袴は、一色で色づけされている一般的な袴とは異なり、グラデーションや色の変化をもたせたデザインが特徴です。色の濃淡により洗練された印象を与え、下に向かって濃くなるデザインは、脚長効果も期待できるといわれています。
最近では一般的な袴の裾だけでなく、袴の背面やリボンを縛った部分にも刺繍が施されていることがあり、刺繍の量や質によって袴の価格が変わることがあります。
ぼかし刺繍デザインの袴
独特なデザインの袴の中でも、とくに際立つのがぼかしの生地に刺繍が施されたデザインです。おしゃれで華やかさを求める方にぴったりのアイテムです。
刺繍入りのぼかし袴を選ぶ際は、デザインの調和がとれたものを選ぶことが大切です。ぼかし刺繍の袴は作るのに手間がかかるため、通常の袴より価格が高くなる傾向があります。
振袖の下に着用するアイテム
振袖を着る際は、その下にいくつかのアイテムを着用します。
肌着
肌に直接着用するアイテムです。スリップのようなワンピース型や肌着と裾よけの上下に分かれたタイプがあり、材質も多くの種類があります。普段使っている下着でも代用可能なので、絶対に必要なアイテムではありませんが、できればそろえたいものです。
長襦袢(ながじゅばん)と半衿(はんえり)
長襦袢は、肌着(肌襦袢)を着た上に着用するもので、着物の汚れを防ぐ役割があります。首周りには、着物の衿に汗やメイクがつくのを防ぐために半衿を使用します。
半衿は長襦袢に付いていることもありますが、ない場合は縫い付けて使います。
重ね衿(かさねえり)
重ね衿は伊達衿(だてえり)と呼ばれることもあります。重ね着しているように見せかけるもので、必須ではありませんが、着物の雰囲気を引き立てる重要なアイテムです。
袴帯(はかまおび)
袴の下で締める帯で、着付けに利用するだけでなく、袴と着物の間から色柄を見せて楽しむアイテムでもあります。袴下帯や半幅帯、小袋帯とも呼ばれ、振袖や訪問着の袋帯や名古屋帯に比べて幅が狭いのが特徴です。
振袖や訪問着の着用時には帯揚げや帯締めが必要ですが、袴の場合は帯のみでほかのアイテムは必要ありません。
着付け用小物
振袖を着用する際は、以下のような着付け用小物も用意しましょう。
腰紐(こしひも)
細長い紐で、長襦袢や着物を着る際に使用します。腰紐の数は、着付けの手法や体型によって変わりますが、ほとんどの場合4本あれば間に合います。
コーリンベルト
腰紐の代わりに使うもので、伸縮性のあるゴム紐の両端にクリップが付いています。クリップで着物を挟んで使用しますが、必須ではないものの、もっていると重宝するアイテムです。
衿芯(えりしん)
半衿に挿入して、衿の形を整えるための道具です。衿がしっかりと形成され、着物の衿元が美しく見えます。
袴の着用に必要な小物
最後に、袴を着用する際に必要な小物類をご紹介します。
きん着
手荷物用の袋で、口は紐で閉じられます。着物や袴に合わせた色や柄のものを使うと、コーディネートの完成度が上がります。
足袋(たび)
足にぴったりフィットする袋状の靴下で、草履を履く際に使用します。一般的には白足袋がスタンダードですが、柄や刺繍、カラフルな足袋でアレンジを楽しむこともできます。
草履
和装に欠かせない基本的な履物です。草履を履き慣れていない場合は、歩く際に注意が必要です。履きやすさや疲れにくさを考慮すると、3~5cm程度の高さの草履を選ぶのがおすすめです。
ブーツ
袴と振袖の場合は草履を履くのが基本ですが、ブーツを合わせるスタイルも人気です。一般的に、足首部分がぴったりとしたヒールのブーツは黒色の編み上げが主流で、最近では白やベージュも見られるようになりました。
ヒールは5cm前後で歩きやすいものがおすすめで、筒丈は袴の裾から素肌が見えないように、約15cmを目安にするのが好ましいでしょう。
まとめ
袴姿は、女子大生の卒業式のアイテムとして定着しています。袴にはいろんなデザインがあり、振袖との組み合わせも多彩です。自分に合った装いで、晴れの日のコーディネートを楽しみましょう。