大学の卒業式シーズンに、袴姿の女性を見かけることは珍しくありません。桜の季節に色鮮やかな袴を身に着けた姿は、まさに「女学生」を体現した、美しさと凛々しさを兼ね添えています。先輩の袴姿をみて「自分も着たい」と触発される人も多いのではないでしょうか。今回は卒業式に袴を着るための準備を開始する時期についてご説明します。
卒業式までに何を準備すればよいのか
袴姿の女性はスーツ姿の男性のような凛とした格好よさがあります。プロ将棋界ではタイトル戦に袴姿でのぞむ女流棋士も多く、袴は晴れ舞台にふさわしい勝負着として、特別な思い入れをもつ女性も少なくありません。
女性が袴を着る風習は、さかのぼると明治時代に至ります。袴は着物とは異なり、前がはだけたり、裾さばきを気にしたりすることなく活発に動けるため、女学生の制服として考案され定着しました。
制服としての袴は時代の変遷とともに洋服にバトンを渡していったものの、卒業式に袴を着る風習が現在にも残ったのはなぜかというと、その背景には漫画「はいからさんが通る」があったそうです。
「はいからさんが通る」とは大正時代を背景にした少女漫画で「はいからさん」の愛称をもつ主人公の少女と、主人公の父が決めた許嫁が幾多の波乱を乗り越えた末に結ばれるまでを描いた壮大なラブストーリーです。はいからさんのトレードマークは袴姿で、大きな矢絣柄の着物を身に着けた姿が印象的です。
1987年に公開された南野陽子さん主演の実写映画がヒットし、その翌年のとある大学の卒業式に数人がはいからさん風の袴姿で出席し、翌年にはさらに多くの女性が袴姿で出席…というように全国規模で大きい流行に発展し、90年代後半には現在の「卒業式には袴を着る」ことが定番に至ったといわれています。
また、競技かるたを題材とした大人気少女漫画「ちはやふる」も、袴を着た主人公が活躍する姿が印象的な作品です。2016年には広瀬すずさん主演の実写映画化が公開され、小学校卒業式の袴着用率増加に大きな影響を与えています。
漫画や映画のヒロインに憧れて、卒業式という学生生活最後の一大イベントを袴で華やかに演出できたら、きっと一生のよい思い出になるに違いありません。この記事では袴をレンタルする場合にスポットを当てて、どのような準備が必要かについてご紹介します。
まず卒業式に袴を着て出席するためには、当然、袴は必要です。また、袴を着るためには着付けとヘアセット・メイクもワンセットになります。そのため、着付けができる美容室を探し、予約を入れなくてはなりません。
そのほか、レンタル衣裳に付属しない着付け小物を揃えておくことも大切です。たとえば、髪飾りやバッグ、履物などアクセサリの要素の強いアイテムは、レンタル品に付属しない場合、袴とのコーディネートや本人の好みにあわせて選ぶ楽しみもあります。時間的に余裕を持ってアクセサリ選びができれば、よりオシャレに決められます。
また、袴の着付けには、腰帯、伊達締め、コーリンベルト、前板、襟芯、足袋、肌着、着物の補正用タオルなどが必要になります。すべての道具が必要というわけではなく、着付けの方法によっては使わない道具もあったり、上記以外の道具が必要になったりすることもあるので、事前に美容師さんに必要な道具・個数を確認しそろえておけば、実際の着付けがスムーズになります。
【月別】レンタルの予約状況
卒業式の袴のレンタルは、予約可能な衣裳が豊富にある時期がねらい目です。卒業式間際はもちろん、前年の11月頃にはすでに予約がいっぱいになり、個性的なデザインや珍しい色など、人気の衣装はすでに予約済みという状況にあることも珍しくありません。
学生の授業スケジュールなどの影響により、現在の袴のレンタルのピークは6~7月頃と9~10月頃の2回発生するといわれています。とくに夏休みやお盆休みが近づくと、時間に余裕が生まれた学生による予約が本格的に増加します。
卒業式用の袴レンタルが開始する時期は、一般的に卒業式の約1年前の4月~5月頃です。希望する色や柄のものを豊富な選択肢の中から選びたい場合には、一度目のピークの少し前にあたる5月頃を目安に予約するとよいでしょう。衣裳の品揃えもよく、お店も混雑していないので、ゆっくりと袴を選べます。
もう少し早い時期の3月~4月中旬頃は、前年の卒業式の影響を受け、衣装が貸し出し中だったり、クリーニングが済んでいなかったりして充分な品ぞろえがない危険性があるため、注意が必要です。レンタル衣裳屋に訪問する際には、事前にお店に電話して衣裳の品揃えを確認しておくと安心です。
袴選びはいつ始めるのが最適か
袴選びは早ければ早いほどメリットが多くなります。自分の好みの衣装をレンタルできる可能性が高くなり、それに合わせて衣装とコーディネートするアクセサリ選びにも余裕がうまれます。
袴の着付けやヘアセット・メイクをお任せする美容室探しや、着付け道具の準備も早めに対処できるので、卒業式が近づく頃に大慌てすることなく、余裕を持って臨めます。そのためには準備期間をしっかり確保することが大切です。4月後半から5月中旬ぐらいに袴選びをはじめられれば、理想的といえるでしょう。
まとめ
卒業式に着る袴のレンタルに適した時期と、卒業式までに必要な準備についてご紹介しました。袴のレンタルは卒業式前年の4月末から5月中旬を目安に行うと、豊富な衣装の中から自由に選べておすすめです。
また、早めに衣裳を決めることで、小物選びや着付け・ヘアセット・メイクの予約も早めに取り掛かれるため、式直前になって慌てることがありません。レンタルのお店を訪問する際には、事前に衣裳の品ぞろえを確認しておくと確実です。