
袴は、大学の卒業式などでよく選ばれる晴れ着の1つです。しかし、成人式に来た振袖も合わせてコーディネートをしたいと考える人もいることでしょう。袴に振袖をあわせること自体は問題ありませんが、きれいに着こなすにはポイントをおさえる必要があります。本記事を参考に、卒業式の衣装選びをしてみてはいかがでしょうか。
袴と振袖それぞれの特徴
まずは、袴と振袖の違いについて詳しく見ていきましょう。
袴の特徴
袴は、長着の着物の上から下半身に着用するもので、洋服でいうところのズボンにあたります。袴を着た姿は「袴姿」と呼ばれ、古墳時代から使用されていたといわれるほど歴史があります。袴は、長い年月の中でさまざまな形が生まれました。
代表的なものに、明治時代に登場したスカート状の「行灯袴」があります。これは現在最も一般的に使われており、卒業式や座禅着としても利用されています。「馬乗袴」はズボン型で、かつては武士に好まれました。
現在では、結婚式の礼装や剣道・合気道などの武道、巫女の衣装などにも使われます。「襠有袴」は馬乗袴と同様のズボンタイプで、やや浅めに仕立てられます。外見は行灯袴に近い形をしていますが、異なる種類の袴です。
振袖の特徴
一方、振袖は袖が長く作られた袂のある着物で、未婚女性にとって最も格式の高い第一礼装とされています。成人式や卒業式、花嫁衣装、発表会や式典の場などで着用されます。江戸時代ごろから一般に広まり、時代とともに袖丈が徐々に長くなりました。袖が長いことで舞踏がより美しく映え、また若い女性に病が多かった時代には、厄払いの意味も込められていたといわれています。
袴を振袖に合わせる際のポイント
続いて、袴に振袖をあわせる際のポイントを見ていきましょう。基本的に、着物の形や色柄が卒業式にふさわしければ、振袖と袴の組み合わせは問題ありません。ただし「大振袖」は避けるのが一般的です。大振袖は袖丈が104cm以上あり、婚礼衣装や舞妓の衣装としても知られています。袖が長く動きにくいため、卒業式に着用されることはほとんどありません。
一方、小振袖は軽くて動きやすくかわいらしい印象になるため、卒業式に人気です。カジュアルにブーツと合わせるスタイルも好まれており、甘すぎない色柄を選ぶと上品な印象になります。中振袖は成人式で一般的な振袖で、適度な華やかさと動きやすさを兼ね備えています。卒業式に袴と合わせて着用することも可能ですが、立ち居振る舞いには注意が必要です。
袴はシンプルなデザインを選ぶと、振袖の豪華さが引き立ちます。袴スタイルでは、小物類の準備も重要です。肌襦袢や長襦袢、半衿や伊達衿、袴下帯、腰ひも、帯板などの着付け用品が必要となります。加えて、髪飾り、バッグ、足袋、草履またはブーツなどの小物も忘れずに用意しましょう。
足元のコーディネートによって全体の印象も変わります。草履は上品で伝統的な雰囲気に仕上がり、どのような着物にも合いやすいのが魅力です。対してブーツはレトロでおしゃれな印象を与え、歩きやすさや防寒性にも優れています。好みに合わせて選ぶことで、自分らしい袴スタイルを演出できます。
袴&振袖コーデをきれいに着こなすコツ
袴に振袖を合わせる際の全体の印象は、やはり振袖と袴の色柄の組み合わせによって大きく左右されます。どのような雰囲気を目指すのか、どんな色柄が自分に似合うのかをイメージして、実際に着て合わせてみることが重要です。ここでは、卒業式や式典などで美しく見せるためのコーディネートのポイントについて解説します。
上品に仕上げたい場合
まず、上品で落ち着いた印象に仕上げたい場合は、振袖と袴の色を同系色で揃えるのが効果的です。たとえば、ピンクや赤系の振袖にはえんじ色の袴、青や水色を基調とした振袖には紫色の袴などが好相性です。淡い色を選べば柔らかい印象に、深みのある色ならば大人っぽく引き締まった印象になります。
個性的に仕上げたい場合
一方で、個性的でメリハリのあるコーディネートを楽しみたい場合は、振袖と袴を反対色で組み合わせるのがおすすめです。例えば、緑の振袖には赤系、黄色の振袖には紫系の袴を合わせるなどの配色です。ただし、どちらも派手な柄にしてしまうとバランスが悪くなるため、袴は無地や控えめな柄にすると全体の印象がまとまります。
統一感のある仕上がりにしたい場合
さらに、振袖に使われている柄の色と袴の色をリンクさせることで、コーディネートに統一感を持たせることができます。たとえば、振袖の花柄の中にある色を袴の色に取り入れたり、文様の一部と同じ色味の袴を選んだりする方法です。色の選び方に迷ったときは、この手法が失敗を防ぐポイントになります。
モダン柄の振袖をあわせたい場合
また、近年人気のモダン柄の振袖を選ぶ場合には、袴との柄の相性にも注意が必要です。モダン柄と古典柄を組み合わせるとアンバランスになることが多いため、モダン柄の振袖には無地やシンプルなデザインの袴がよく合います。刺しゅう入りの袴を合わせると、よりかわいらしさが引き立ち、かれんな印象に仕上がります。
まとめ
卒業式の袴スタイルに振袖を合わせるのは、格式や華やかさを兼ね備えた魅力的な選択肢です。小振袖や中振袖なら動きやすく、式典にもふさわしい着こなしが可能です。コーディネートの鍵は、振袖と袴の色柄のバランスにあります。上品に仕上げたいなら同系色でまとめ、個性を出すなら反対色を使うとメリハリのある印象になることでしょう。振袖の柄と袴の色をリンクさせれば統一感が生まれ、モダン柄には無地の袴を選ぶことで洗練された装いになります。足元や小物も工夫すれば、より一層自分らしい晴れ姿を演出できます。卒業という大切な節目には、自分にぴったりのスタイルで臨みましょう。