袴姿でトイレに行くことは可能ですが、着崩れや汚れを避けるために、注意しながら行動しなければなりません。袴を着用したときの座り方、階段の歩き方など、いくつかのポイントを押さえて、頭に入れておきましょう。ちょっとしたコツを知っておくと、卒業式などの特別な日に失敗することもなく、思い出の一日になるでしょう。
袴を着用しているとき、トイレはどうする?
結論からいえば、袴を着ていても問題なくトイレには行けます。袴は、ふだん着用することがない特別な衣装です。着慣れない袴姿でトイレにそのまま行くと、着崩れやトラブルになるリスクが気になるかもしれません。
とくに、卒業式シーズンは寒い時期のため、体が冷えてしまいトイレが近くなってしまうかもしれないと、不安に感じる方も多いでしょう。袴でもトイレに行くことは可能です。しかし、トラブルを防ぐために実施したい、さまざまな注意点があるため、よく知っておきましょう。
袴を着崩さないトイレの行き方
卒業式などで着る女性用の袴は、行灯袴(あんどんばかま)と呼ばれる、スカートに似た構造が特徴的です。そのため、ほかの着物とくらべて、トイレを比較的簡単に済ませられます。袴でトイレに行く際には、以下の手順に従って着崩れを防ぐとよいでしょう。袴姿でトイレを済ませる際には、ぜひ実行してみてください。
袖
トイレに入る前に、まず両袖を帯と袴の間に挟みます。トイレの中ではしゃがむ、前かがみになるという動作があり、その際に着物の袖が床に触れてしまう可能性があるからです。両方の袖を袴に挟むことで、袖が垂れてトイレの床に接触してしまうことがなくなります。
裾
誰もが不安に感じるのが袴の裾です。袴の裾は長く、トイレの中でもてあましてしまったり、床についてしまったりすることがあります。そうならないように、裾を適切に処理することが重要です。
まず、袴の正面部分の裾をめくり上げ、袖と同じように帯と袴の間に挟みます。次に両裾です。袴の両サイドをめくり上げて抱え込みましょう。着物も同様にめくり上げ、抱えていた袴を包むようにしてしまいます。長襦袢も、着物と同様にしまいましょう。
トイレ後
トイレが終わったら、長襦袢、着物、袴の順番でシワにならないように注意しながら戻していきます。とくに、着物の両袖は、手を洗う際に濡れる可能性があるため、しまいこんだ帯と袴の間から出さないようにしましょう。手を洗い終わったら、ハンカチでよく手をふき、帯と袴の間に挟んでおいた両袖を取り出します。
袴着用時に気を付けたいポイント
袴は、一般的に着慣れていない衣装であるため、トイレ以外にも注意したいポイントは多く存在します。知っておかなければ、せっかくきれいに着付けてもらった袴が着崩れてしまうでしょう。また、袴には動作のマナーがあり、しっかりと守って行動することで、うつくしくふるまえます。詳しく見ていきましょう。
腕を上げる
袴を着用して腕をあげるときには、袖口を軽くもつようにしましょう。袖口をもたずに腕を上げると、二の腕が見えてしまい、だらしなく見られる可能性があります。袖口に手を添えて押さえる動作ひとつとることで、とても上品に見えることを覚えておきしょう。
座る
袴でトイレに行くケース以外にも、椅子に座る際には、着崩れに気を付ける必要があります。背もたれに寄りかかるように座ったり、立っている状態からそのまま座ったりすると、袴がずれてしまい、着崩れの原因になるのです。
また、椅子に深く腰掛けるとだらしなく見えることもあるため、浅く腰掛け、背筋を伸ばしましょう。袴を着用して座るときには、袴の横から手を入れて裾を後方にもちあげて座るようにするのがポイントです。
同様に、乗車時には、同様に裾をもちあげて座りましょう。そのとき、座席に対して90度の位置に立ち、お尻から座ります。そして、下半身を90度まわし、車内に体を入れるのです。ドアを閉める際は、着物を挟まないように注意しましょう。
階段
階段を歩く際の重要なポイントは、裾のあつかいです。階段を上るときは、前裾をつまむようにして浮かせて歩くことで、床に裾が擦れるのを防ぎます。階段を下りる際は、後ろに裾をもちあげながら歩くことで、後部の裾が地面に擦れずに歩けるのです。
袴が足に引っかかって着崩れたり、最悪の場合は転倒してしまったりする可能性もあるので、必ずもちあげましょう。
着崩れ対策
式典の際に移動や動作が多いとき、気になるのが着崩れです。そこで、その場でできる着崩れ対策もあるので知っておきましょう。袴がずり落ちてくる場合には、まず帯ごと上にもちあげます。次に、袴の背中側についているヘラを帯の結び目に差し込むのです。
それでも落ちてくるときには、袴の結び目をほどいて、紐を締めましょう。
まとめ
袴を着用していても、トイレに行くことは可能です。しかし、上品で快適な行動や着崩れ・汚れを防ぐためには、いくつかのポイントを押さえた所作が求められます。袴姿でのトイレ行動は、とくに卒業式などの特別な日において、思い出を美しく残すための重要なステップです。適切な座り方や階段の歩き方など、細かな動作に注意を払うことで、袴を着崩すことなく快適にトイレを済ませることができます。
また、トイレを終えた後も、着物や袴の整え方にも注意が必要です。このような心がけが、特別な日の美しい思い出をより素晴らしいものにしてくれます。